工学部 電気電子物理工学科

電気電子物理工学科における教育

教育目的

Educational purpose

電気・電子・情報通信技術は現在我が国の社会・経済の根幹を支えており、高度化する情報化社会を支える中核の技術としてその重要性はさらに増大しつつある。 現在、我が国で使用されている全エネルギーの中で電気エネルギーが占める割合は40%を越えているが、より安全で快適な生活の追求、高齢化社会への対応(福祉の向上)、および地球環境保護の重要性から、その割合はさらに高まりつつある。 これは、我が国ばかりでなく世界全体の動きでもある。この非常に大きな社会的トレンドに対応するため、電気・電子・情報通信技術を提供している産業界に対する発展の要求は一層強く、発展を支える人材の要求も今後さらに高まることが予測される。


このような社会、産業界からのニーズ、およびその分野で活躍したいと願う学生のニーズに応えるために、本学科では以下の目的に沿って教育を行っている。 電気電子物理工学科は、 1. グローバルに発展する社会・経済の根幹を支える電気・電子・情報通信関連分野の基礎知識と基礎技術、 2. 技術者として社会や環境を考慮できる倫理観、 3. 技術革新を生み出せる創造的能力、 4. 関連する技術を有機的に統合したシステムを創成できる能力、を備えた人材を育成することを目的とする。

教育目標

Educational goal

高度に発展してゆく電気・電子・情報通信技術に対して産業界に入っても対応できるようにするため、また、増加する進学者が大学院での研鑽を自在にできるようにするため、当該分野の専門基礎知識、基礎技術を付与し、専門的な課題を分析して計画的に解決できる応用能力を会得させることを目標とする。 具体的な内容は以下の通りである。


A. 社会人・国際人としての教養

人文学系および社会学系、自然科学系科目で構成された基盤科目、および工学部教養科目(D2群科目)により、文化、経済、科学などに関する横断的知識を付与し、それに基づき社会人・国際人である技術者として地球的観点から社会、環境、文化などを多面的に考えられる素養を養成する。


B. 技術者としての(B1)幅広い知識と(B2)倫理観

(B1)幅広い知識:理工系基礎教育科目(D1群科目)および学科専門基礎科目(D3群科目)により、技術者として必要不可欠な数学、物理学、化学、情報技術など、工学に関する基礎知識を付与し、それを応用できる素養を身につける。
(B2)技術者倫理:「技術者倫理」により、技術者として社会あるいは地球環境に対して自ら責任を負うことのできる能力と倫理観を養成する。


C. 専門的基礎知識

学科専門科目(卒業研究を除くD4群必修科目およびD4a亜群科目)により、電気電子技術者として必要不可欠な専門的基礎知識について、通常の講義と演習を併用し、徹底的な理解を図る。


D. 課題設定および課題解決のためのデザイン能力

「電気電子物理工学実験Ⅲ」と「卒業研究」などにより、特定のテーマについて学生が自主的に課題を設定し、自らの創意と工夫によって粘り強く継続的に実験・研究を推進させ、学科専門基礎科目・専門科目で修得した知識と技術を応用して、得られた結果をまとめて考察できる能力を養う。 また、「プログラミング演習」、「数値解析とアルゴリズム」、「数値解析とアルゴリズム演習」により、与えられた課題を解決するためのアルゴリズムを創造し、それをプログラミングにより表現する能力を養う。


E. 社会人・国際人としてのコミュニケーション能力

「情報基礎」などにより情報リテラシーの養成を図り、それを基に「工学入門セミナー」と「電気電子物理工学実験Ⅰ、Ⅱ」などにより、社会人として必要不可欠な日本語によるプレゼンテーション能力並びにコミュニケーション能力を養成する。 外国語科目の「英語」、「卒業研究」などにより、国際人として自己主張するために必要不可欠な英語の読解力・記述力とコミュニケーション能力の基礎を養う。


F. 専門知識・技術

大学院における研究、あるいは4年で卒業する学生に対しては産業界における様々な技術革新に対応できるように、学科専門科目(D4群科目)により、卒業後の活躍分野を見据えた電気・電子・情報通信技術に係わる専門知識と技術を付与する。 さらに「卒業研究」において、これらの専門知識と技術を駆使することで、与えられた課題における解決すべき問題点を把握し、自主的な創意工夫により問題を解決しながら継続的に研究を行うことにより、産業界における様々な技術革新に対応できる能力を養う。


G. 実践的応用能力と計画的遂行能力

「工学入門セミナー」と「電気電子物理工学実験Ⅰ、Ⅱ」、イノベーション科目(D6群科目)などにより、基礎知識と専門知識の徹底した理解を図り、実践的な応用能力と与えられた制約の下での計画的な作業遂行能力及びチームワークにより課題を遂行する能力を養う。 また、実験レポートの作成とその発表によって、自発的学習の習慣、データ解析手法、論理的考察力、技術的文章記述力、プレゼンテーション能力を養う。 さらに、多様な人材と協働して共通の目標達成や課題解決に導くことができるリーダーシップと高い専門性を兼ね備えた実践力を修得する。

カリキュラム

Curriculum

2020年度入学者からのカリキュラムは下記の通りです。



カリキュラムの特徴
  • 主要な科目は、演習科目を併設し、講義を聴くだけでなく、演習問題を自らの手で解くことで、講義で扱う理論や概念の理解を深められるように編成しています。

    ・数学演習          :微分積分学基礎Ⅰ、線形代数基礎
    ・物理数学演習        :微分積分学基礎Ⅱ、ベクトル解析基礎
    ・基礎電気回路演習      :基礎電気回路
    ・電気回路演習        :電気回路
    ・電磁気学演習Ⅰ       :電磁気学Ⅰ
    ・電磁気学演習Ⅱ       :電磁気学Ⅱ
    ・量子力学演習        :量子力学Ⅰ
    ・数値解析とアルゴリズム演習 :数値解析とアルゴリズム
  • 講義内容に沿ったテーマについて、少人数グループによる実験実施を通して電気電子物理工学の実際を学ぶことができます。

    【電気電子物理工学実験Ⅰ】回路製作、オシロスコープ、電磁波、誘電材料、磁性材料、RLC回路、ダイオード、トランジスタ、X線構造解析、超伝導材料、回路シミュレーション、データ処理
    【電気電子物理工学実験Ⅱ】変圧器、高電圧、直流機、誘導電動機、分光測定、光通信、オペアンプ、センサ、マイクロ波工学、伝送線路、周波数解析、変調、ディジタル信号処理
    【電気電子物理工学実験Ⅲ】電気自動車、絶縁破壊試験、光計測、電磁波工学、超電導素子、フォトン計測、半導体pn接合素子、情報通信工学、高周波回路、数値シミュレーション、強化学習、マイクロプロセッサ、センサシステム、半導体ヘテロ構造、超伝導回路、環境モニタリング、酸化物磁性体、太陽電池、薄膜インダクタ、電気電子システム、分子磁性体、深層学習、自律移動ロボット
  • 電子回路制作・回路の測定などのハードウェアから、数値計算・情報処理などのソフトウェア・プログラミングまで、実践的な技術が身に付きます。

    【ハードウェア】工学入門セミナー、電気電子物理工学実験Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
    【ソフトウェア・プログラミング】プログラミング演習、数値解析とアルゴリズム演習、電気電子物理工学実験Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ

2022年4月現在の各課程の開講科目は下記の通りです。

学部教育(学士課程)

大学院教育(博士前期課程)



数理電子情報専攻共通 数理電子情報特論Ⅰ
数理電子情報特論Ⅱ
インターンシップ
電気電子物理工学PG 必修 電気電子物理工学特別研究Ⅰ
電気電子物理工学特別研究Ⅱ
エネルギー制御特論
電力工学特論
電機制御特論
人間支援システム特論
マイクロ波回路特論
電磁波工学特論
電磁界解析特論
ディジタルシステム特論
光波センシング特論
電子応用計測特論
スマートセンシング特論
先端計算機工学特論
超伝導集積回路工学特論
光エレクトロニクス物性特論
先端エレクトロニクス材料特論
半導体工学特論
量子化材料物性工学特論
薄膜表面工学特論
情報記録材料工学特論
機能磁性学特論
ハイブリッド磁気工学特論
マテリアルリサーチストラテジー特論
環境応用光学特論
システム制御特論
エネルギー変換材料特論
量子光デバイス工学特論
有機半導体工学特論
新材料の製品化プロセス特論
水素変換材料工学特論
放電プラズマ工学特論
電気電子物理工学輪講Ⅰ
電気電子物理工学輪講Ⅱ
電気電子物理工学輪講Ⅲ
電気電子物理工学輪講Ⅳ

大学院教育(博士後期課程)

2024年4月~

カリキュラムと研究分野

Curriculum & Research field

4年生になると研究室に配属され、1年間をかけて卒業研究に取り組みます。

当学科には、制御システム・エネルギー・環境、材料・デバイス・光応用、回路システム・情報通信など、多岐に渡る研究者が所属していますので、自分の興味に合った研究を選ぶことで高いモチベーションを持って卒業研究に臨めます。

研究室内部のゼミだけではなく、学会などの対外的に研究内容を発信する場に参加することで、基礎的な研究能力やプレゼンテーション技術を習得することができます。


当学科の開講科目と研究分野・テーマ例の関係は下記の通りです。


取得できる資格

Qualification

各資格の詳細については、履修案内(自分の入学年度に対応したもの)を参照してください。


電気主任技術者資格
自家用工作物(例えば発変電所、工場の電気設備等)の運用をしうるための資格が経済産業省により定められています。 電気電子物理工学科の学生は、在学中に所定の科目を履修してあれば、卒業後、所定期間(第一種:5年以上、第二種:3年以上、第三種:1年以上)の実務を経た後、この資格を申請し取得することができます。


無線従事者資格
無線設備の操作および監督の業務に携わる者は、原則として電波法に基づく総務大臣の免許(無線従事者)が必要です。 電気電子物理工学科において、無線通信に関する科目を履修して卒業した者は免許申請により、次の無線従事者資格を取得することができます(電気電子電子物理工学科入学者、および、電気電子システム工学科入学者(平成14年度以降)に適用)。
・第一級陸上特殊無線技士
・第二級海上特殊無線技士
・第三級海上特殊無線技士


電気通信主任技術者資格
電気電子物理工学科は電気通信主任技術者試験の認定学校として認定を受けています。 所定の授業時間数以上履修すると、申請により電気通信主任技術者試験の試験科目(「電気通信システム」「専門的能力」「伝送交換設備及び設備管理(または線路設備及び設備管理)」「法規」の4科目)のうち、「電気通信システム」の試験科目が免除されます(電気電子電子物理工学科入学者、および、電気電子システム工学科入学者(平成18年度以降)に適用)。